今回は、絵本「鳥の島」(川端誠 作 BL出版)をご紹介します。
絵本は子ども向けのもの、幼稚なもの、という印象のある方もいらっしゃるかもしれませんが、この絵本は、大人の私もホロリときた一冊です。
大空と海の向こうの世界に憧れて、群れを離れ飛び立ったものの、止まり木ひとつない広い海に、力尽きた一羽の鳥。
次の年も次の年も、同じように憧れを抱き、海へ飛び立っては力尽きる、何百、何千、何万の鳥たちの姿に胸が苦しくなりました。
でも、そうして命を落とした鳥たちが積もってできた鳥の島が、次の一羽の羽を休めるところとなり、それが次への希望と繋がっていきます。
志半ばに命を落とす、悲しさ無念さで心がいっぱいになってしまった前半から、
すべてがつながる、時間と空間のスケールの大きさに心が震えました。
何を感じるかを読者にゆだねているような、淡々とした語り口もその世界観をつくり出しているように感じました。
あぁよかった、めでたしめでたし、と単純には割り切れない、切ない余韻が残る絵本で、その余韻にまたグッと心が掴まれています。
「じゅげむ」や「ばけものつかい」などの落語絵本でも有名な川端誠さんのデビュー作で、絵本にっぽん賞受賞作品です。
新聞紙を原料とした自家製紙粘土で描かれた渾身の一作だそうです。
海の向こうへの憧れを抱き、飛び立った鳥たちの壮大なお話を、ぜひ。(投稿者:マツコ)
(↓息子もお気に入りです♪)